2001年ごろ。隣の編集部の方が編集していたのを出来上がってすぐに読ませてもらったのがこの文庫との出会い。カバーは可愛いし、書いてあることは自分の興味のあることばかり。手に取らないはずがない。
ソフトカバーで出た時に読んでいたが、この文庫から「都市伝説論」が加えられた。自分が好きだったものがなぜブームになったのか、その謎解きが次々とされていくようで2回目も夢中で読んでしまった。
このころの大塚さんの直感で時代をわしづかんでいる感じや、エッセイのように読める論じ方はものすごくわかりやすく自分に入ってきた。当時何となくわかった気になっていた「消費」という考え方もすごく理解できた。その後しばらく(いや、今もだが)、サブカル畑で編集者をやっていくにあたりものすごくためになったのを覚えている。
それから18年。休日の自宅の本棚で調べ物をしていたら、久々にこの本が目に止まった。読み返したら今の仕事にめちゃくちゃ役に立つではないか。本とうたた寝。、迷ゐゴにあって、サマロケ、アクタリウムにないものは何か。
世界観。
改めてそこに気づかせてくれたので、少し活動の指針を取り戻せた気がする。
それにしてもだ。読者が自分たちが消費する物語を自分たちで捏造する時代。これって、もはや自分がやっていることとどう違うのだろうか。プロとして本や雑誌を作っているつもりだが、所詮誰か先駆者の真似事だと言われれば否定できない。
読者が作る物語の方が面白いこともあるだろう。SNSで台頭してくる人はそういう人なのだ。
休日の夕暮れ時。自分の会社は大丈夫だろうか。普段は考えもしない不安がよぎるのだった。
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