繭、纏う

黒髪ロングヘアコンプレックス、みたいなものに、長いこと囚われている。

二次元作品のキャラクターから、アイドル、クラスメート、駅ですれ違う女の子にいたるまで、とにかく黒髪ロングの美少女にあこがれる(さかのぼると、幼少期に夢中だったアニメ「カードキャプターさくら」の知世ちゃんが発端な気がする……)。

自分でも髪を伸ばしてはみるものの、思い描いたようなうつくしい黒髪になったことはなく、これからも一生そうだろうという確信がある。もう、髪質が、DNAの配列からして違うので。細くて、サラサラで、触れると指先からするりと抜けていく、絹糸のような……そんな黒髪になってみたかった。

 

『繭、纏う』は、そんなうつくしい髪の少女たちが次々に出てくる漫画作品。

なにより特徴的なのは、緻密な描線。一つひとつの線が、頁の中でひそやかに息づいているよう。”お嬢様学校で起こる秘めごと”というストーリーと相まって、めくるたび思わず息をひそめてしまうような、繊細な美に満ちている。

 

展開される物語も、うつくしい絵にぴったり。舞台は「郊外の女学校」で、主要キャラは「謎多き深窓の姫君」「同性を熱狂させる王子様」、そして「お嬢様ばかりの中で一般人寄りの感性を持ち、ハッキリした物言いのためか、やや浮き気味の主人公」……と、完璧なキャラクター配置。極めつけは物語全体に漂う、ほのかな百合の香り。もう、ご馳走様です。少女小説や女学校ものが好きな方は、まずまちがいなく好きだと思う。

 

そんな物語のキーになるのが「制服」、そして「髪」。うつくしい髪はしばしば “絹糸のような”と形容されるが、この作品においては、少女たちの長い髪は文字通り”糸”となり、後輩たちのための制服となる。

閉ざされた学園で過ごす年月のぶんだけ、伸びていく黒い髪。それで編まれた制服は“繭”となって、次の世代の少女たちを庇護し、同時に閉じ込めてもいる。

それが、あるときふいにほつれだして、長い髪とともに風になびていく場面なんかは、本当に息を呑むほどうつくしい。

 

以下、特に好きな頁を厳選して列挙します。是非実物を見てみてください。

26,52-53,62-63,74-75,94-95,142-143,150-151頁……ぜんぜん厳選できてないけどまだまだあります!

 

2019年1月6日現在、刊行されているのは一巻のみ。恋模様もそうだけど、一方的に熱狂されがちな王子様キャラの”少女”の面が垣間見えるところなど、好きだったので、これからもっと掘り下げられていくといいな。二巻以降も楽しみです。

繭、纏う
原百合子著/ビームコミックス

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